医療界において、いつもクローズアップされている旧くて新しい問題のひとつに、インフォームド・コンセント(説明と納得・同意)があります。
具体的には、医師が患者さまに対して、正確な病状を伝え、治療法や治療薬の選択肢を示しそれぞれのメリット、デメリットについて説明を行い、患者さま自身の選択、同意を得たうえで治療にあたることを意味します。
当院におけるインフォームド・コンセント実践の根幹となっているのが、患者さまに無償で発行している『わたしのカルテ』というミニノートです。
これは患者さまとドクターとを結ぶ双方向のコミュニケーションツールであり、検査の結果、投薬内容、療養のための指導などを、貼り付けたり、書いたりしています。
そしてこの手帳の裏表紙には、
『この手帳は、あなた自身の健康管理のためのカルテです。
自覚症状はご自分でお書き下さい。症状の変化、検査結果、診断、薬などが記載されていますと、あなた自身にも病気の経過がよくわかり、自覚的に病気の治療に取り組むことが出来ます』
と、書き込んでいます。
「第一番目の主治医は患者さま自身。第二番目の主治医がドクター」という理念で発行しているわたしのカルテには、患者さまが病気と積極的に向き合うようになって欲しいという私たちの期待が込められているのです。
我が国の医療現場でインフォームド・コンセントの必要性が注目されるようになったのは1990年代に入ってからといわれていますが、当院では、それ以前の1885年(昭和60年)から実践しています。ドクター・各部署スタッフを含めた組織全体で、インフォームド・コンセントヘの取組についての価値観を共有し、患者さまとの信頼関係を構築し、満足度の高い医療を目指して、日々診療に励んでいます。